世界が認めたパーソナルトレーナー

Personal Trainer Ozeki Toshiaki

ピラティス、食事制限、筋トレ、ヨガ、パーソナルジム、——ダイエットもボディメイクもしているのに、なぜ、身体が変わらないの?痩せても気になる部位だけ落ちないのはなぜ?原因は意志の力でも食事でもありません。指導歴30年・2万人が体感した、根本から身体を変えるパーソナルトレーニング。

30年
パーソナルトレーニング指導歴
2万
指導人数
世界へ
アジア・欧米・ヨーロッパ

マンジャロの安全なやめ方(テーパリング)と、たくさん食べて太らない身体への回帰

本記事は、書籍『マンジャロダイエット』(著者:パーソナルトレーナーおぜきとしあき / 尾関出版)の一部をWeb向けに再構成・編集した公式連載の最終回(第9回)です。
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「目標体重まで落ちたから、もう注射を打つのをやめたい」「高額な費用が続かないし、副作用も辛いのでそろそろ薬を手放したい」——マンジャロ(チルゼパチド)を使用している多くの方が、いずれ「薬のやめ時」という重大な分岐点に直面します。

しかし、ここで最も避けるべきなのは、「自己判断による、ある日突然の完全断薬」です。力ずくで食欲を抑え込んでいた外的な蓋をいきなり外せば、生化学的な反動によって猛烈な過食衝動が押し寄せ、短期間で以前以上の体重へと跳ね返る破滅的なリバウンドを引き起こします。

薬からいかに安全に軟着陸(ソフトランディング)し、自らの代謝の力で生きていける身体を取り戻すのか。薬理学に基づいた離脱ロードマップと、一生太らない身体づくりの根本哲学をお伝えします。

1. 突然の完全断薬が招く「破滅的リバウンド」の恐怖

これまで高用量のチルゼパチドによって強力に満腹中枢を刺激され、胃の排出を人為的に止められていた生体に対し、ある日突然薬の供給をゼロにすると何が起きるでしょうか。

血中濃度が急降下する過程で、脳の視床下部は激しい反動に直面します。体脂肪の急減により満腹を伝える「レプチン」は底をついたまま枯渇しており、そこへ飢餓状態を脱しようとする強力な空腹ホルモン「グレリン」が爆発的に分泌されます。

薬の蓋が外れた脳には、これまで経験したことのないレベルの高カロリー食への渇望と、飢餓パニックが襲いかかります。この衝動は本人の自制心や精神力で抑え込める限界を遥かに超えており、結果として「減量前より筋肉が減って基礎代謝が落ちた身体」へ過剰な糖と脂質が雪崩れ込み、ほぼ100%体脂肪として蓄積されてしまうのです。

2. 薬理学に基づいた安全な離脱法「テーパリング」の2大ステップ

薬からの安全な離脱を果たし、リバウンドの衝撃波を最小限に抑えるためには、薬理学の原則に基づいた「テーパリング(段階的減薬・投与間隔の漸伸)」が不可欠です。必ず担当医と相談の上、数ヶ月単位の時間をかけて受容体の応答を平準化させていきます。

STEP 1 投与量の段階的なステップダウン

例えば10mgや7.5mgといった高用量を使用している場合、いきなりゼロにするのではなく、5.0mg、2.5mgへと、それぞれ4週間から8週間前後のスパンをかけて徐々に投与量を落としていきます。身体が各用量の刺激低下に慣れるための猶予期間を設ける作業です。

STEP 2 投与間隔の段階的延長

最低用量である2.5mgに到達した後は、投与の間隔を広げていきます。通常は7日ごと(週1回)に投与しているリズムを、まずは10日ごと、次に14日ごと(2週に1回)へと段階的に伸ばします。間隔を空けることで、薬剤の血中濃度が緩やかに低下する状況に自らの消化管と中枢神経を少しずつ適応させていきます。

3. 医療ダイエット最大の影|身体の主権(コントロール感)の喪失

医療用医薬品によるダイエットの最大のデメリットは、単に筋肉が落ちることやリバウンドすることだけではありません。真の弊害は、「人間から、自分の身体を自らの力でコントロールしているという手応えを奪い去ってしまう点」にあります。

注射ペンの音に依存し、外的な化学物質に食欲を消去してもらう生活を続けている限り、心の中には常に「薬をやめたら自分はどうなってしまうのだろう」「また太るのではないか」という見えない恐怖と依存心がつきまといます。それは、どれほど体重計の数字が減ったとしても、真の意味で自らの身体に自信を持てた状態とは言えません。

私たちが目指すべきゴールは、外的な薬品の力に生殺与奪を委ねることではありません。自らの意志で筋肉を動かし、自らの判断で健全な栄養を選び取り、自分の代謝システムを自らの力で健全に駆動させるという「主権の回復」です。

4. 「たくさん食べたいから、たくさん運動する」という原点

人間にとって、「食べる」という行為は単なる燃料補給やカロリー計算を遥かに超えた、人生の根源的な営みです。

「今日、何を食べるか」「誰と共に食卓を囲むか」「素材の味をどう楽しむか」。美味しく味わう喜びは明日の活力となり、誰かと分かち合って食べる時間は社会的な絆や心の安定を育みます。食べることを恐れ、食欲を罪悪感として押し殺し、薬で麻痺させる人生から脱却しなければなりません。

たくさん食べたいから、たくさん食べても太らない基礎代謝の高い身体を自らの手で作る。
たくさん食べたいから、たくさん運動する。

これこそが、パーソナルトレーナーとして30年以上にわたり2万人以上の身体と向き合い続けてきた私が、最も大切にしている揺るぎない哲学です。

5. 薬を卒業し、一生モノの代謝力を手に入れるために

医療テクノロジーの進歩そのものは決して悪ではありません。重篤な2型糖尿病や高度肥満症によって生命の危機に瀕している患者さんにとって、チルゼパチドという新薬は命を救い、日常を取り戻すための尊い光です。

しかし、それが安易な痩身のショートカットとして乱用されたとき、待ち受けているのは削ぎ落とされた筋肉、低迷する基礎代謝、失われる生気、そして薬をやめた瞬間のリバウンドです。

健康で引き締まった美しい身体を作るための答えは、すでに体内に用意されています。身体の中心である骨盤・骨格関節角度を垂直に整え、重力に抗って全身の筋肉をバランスよく稼働させ、自らの手で「脂肪燃焼の焼却炉」を大きく育てていくこと。

正しい知識を持ち、自らの意志で身体を動かし、適切な栄養を選び取ること。その一歩一歩の地道なプロセスの積み重ねの中にしか、誰にも奪われることのない本物の美しさと健康は存在しません。薬への依存を手放し、自分の身体を愛し、食べる尊厳を取り戻す最初の一歩を踏み出してみませんか。

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監修・執筆:パーソナルトレーナーおぜきとしあき

パーソナルトレーニング指導歴30年以上、2万人を超えるボディメイク指導実績。青山学院大学、東京大学で学ぶ。トップファッションモデルやミスワールド日本代表をはじめ、女優、タレント、一般層まで幅広くボディメイク指導を担当。国家資格である行政書士としての知見を併せ持ち、プロフェッショナルのための出版社「尾関出版」代表として執筆活動も行う。著書に『マンジャロダイエット』(尾関出版)ほか多数。

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