
ピラティスで基礎代謝が上がるか
――結論から言えば、ほとんど上がりません。
基礎代謝は1日の総消費エネルギーのうち約6割を占め、その主な決定要素は「筋肉量」です。筋肉は安静時にもエネルギーを消費する“代謝器官”であり、筋肉量が多いほど基礎代謝は高くなります。
おおまかに言えば、筋肉1kgあたりが消費するエネルギーは1日約13kcal前後。筋肉量を3kg増やせば、安静時でも約40kcal/日ほど基礎代謝が上昇します。
しかし、ピラティスは負荷が極めて軽く、筋タンパク質合成を誘発する張力刺激(mTOR活性など)がほとんど起こりません。つまり、「筋肉が増えない=基礎代謝も上がらない」のです。
一時的に姿勢が整い、呼吸が深くなることで体温や血流が上がる感覚を得る人はいますが、それは一過性の代謝上昇(運動後の酸素消費)にすぎません。継続的な基礎代謝の上昇――つまり“体質としての代謝改善”は、筋肥大を伴うトレーニング(抗重力下での筋張力刺激)を行わなければ実現しません。
| 観点 | ピラティス | 基礎代謝への影響 |
|---|---|---|
| 負荷 | 軽い(非抗重力) | 筋合成刺激がほとんどない |
| 筋肉量変化 | 維持または微減 | 増加しないため代謝も上がらない |
| 呼吸・血流 | 一時的に促進 | 一過性の代謝上昇のみ |
| 長期的効果 | 感覚改善 | 基礎代謝上昇効果なし |
したがって、ピラティスで基礎代謝が上がることはありません。
代謝を上げたいなら、抗重力下で筋張力を発揮するウェイトトレーニングが必要です。
インナーマッスルを使うから、その分は基礎代謝が上がるという、デマの宣伝やネットSNS情報も広まっていることもあったり、ピラティス業者やインストラクターの説明も見たりすることもあるが、それらは、筋生理学的にも、科学的にも、全く説明がつきません。
ピラティスで強調される“インナーマッスル”とは、深層にある姿勢維持筋(多裂筋、腹横筋、腸腰筋など)を指します。
これらの筋は主に遅筋線維(Type I)で構成されており、持久的な収縮には優れていますが、筋肥大能力は極めて低いのが特徴です。
遅筋は小さな力を長時間発揮するための筋であり、酸化系代謝を中心に使う“省エネ筋”です。
一方、筋量を大きく増やすのは速筋線維(Type II)であり、これには高負荷・短時間の強収縮が必要になります。
ピラティスではこの速筋がほとんど動員されないため、筋肉量は増えず、基礎代謝も上がりません。
ピラティスでは「筋肉を感じて動かす」「インナーマッスルを意識する」ことが重視されます。
しかし、“使っている”という感覚があっても、それが筋タンパク質合成につながる刺激にはなっていません。
筋合成を起こすには、
高張力(十分な負荷)
一定以上の筋収縮時間
回復と栄養
という条件が必要です。
ピラティスはこれらをほとんど満たしていません。床上で重力を逃がす動作が中心で、筋肉に「支える」負荷がかかっていないからです。
遅筋線維主体のインナーマッスルは、酸素を多く使うため血流や呼吸の改善には寄与します。
しかし、筋断面積の拡大(筋肥大)には関与しません。
筋肉量が増えないということは、基礎代謝(安静時エネルギー消費量)も上がらないということです。
つまり、
「ピラティスでインナーマッスルを使う → 代謝が上がる」
という因果関係は、生理学的に成立しません。
| 項目 | インナーマッスル | ボディメイク筋(速筋) |
|---|---|---|
| 主な筋線維 | 遅筋(Type I) | 速筋(Type II) |
| 主な機能 | 姿勢維持・安定 | 出力・形の形成 |
| 代謝特性 | 省エネ(持久型) | 高エネ(代謝活性型) |
| 負荷反応 | 低反応(肥大しにくい) | 高反応(肥大しやすい) |
| トレーニング例 | ピラティス・呼吸制御 | ウェイト・抗重力運動 |
| 基礎代謝への影響 | ほぼ変化なし | 増加する(筋量増加) |
したがって、
「ピラティスでインナーマッスルを使えば代謝が上がる」というのはデマです。
インナーマッスルは使っても太くならず、筋肉量も増えません。
基礎代謝を上げたいなら、速筋を動員できる抗重力下での張力刺激トレーニングが不可欠です。
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