Ozeki Toshiaki


ピラティスで骨盤の傾きが変わらない理由

ピラティス 骨盤の傾き 骨盤後傾 骨盤前傾 パーソナルトレーナーおぜきとしあきが解説


「反り腰が治らない」「骨盤の傾きが直らない」。ピラティスを丁寧に続けているのに、立って鏡を見ると結局いつもの姿勢に戻ってしまう——そんな声は少なくありません。本稿ではその理由を、できるだけ科学的かつわかりやすく、パーソナルトレーナーおぜきとしあきが解説します。


結論から言えば、ピラティスは骨盤を動かす自由度を制限した「骨盤後傾」を基本とする設計であり、さらに多くの動作が非荷重(寝た姿勢・座位・四つ這いなど)で行われるため、骨格を支える土台の筋肉が十分に発達しにくい体型にあります。そのため、日常の立位で崩れない骨盤の傾き(骨盤関節角度)を恒常的に作り変えることが難しいのです。


ピラティスの基本設計は「骨盤後傾」が前提

ピラティスの原型(ジョセフ・ピラティスが提唱したクラシカル・ピラティス)は、もともとリハビリや寝た姿勢での体幹制御を目的として発展した運動体系です。そのため、基本姿勢の多くは「腰をマットにつける=骨盤を後傾させる」ことを前提に設計されています。

たとえば以下のような指導が代表的です。

  • 仰向けで膝を曲げたとき、腰を床に押し付けるようにする
  • 「ニュートラルポジション」と言いながらも、実際の動作は後傾寄りで行われる
  • 腹圧をかけるために骨盤を安定させる際、後傾方向で固定することが多い

このように、ピラティスのフォームは「骨盤を動かす自由度」をほとんど持たず、後傾姿勢で安定させる設計になっています。これはリハビリやコアの再教育には有効ですが、立位での骨盤角度を積極的に変えるには不向きです。


骨盤前傾タイプの女性には不向きな体型的理由

骨盤が前傾している女性、いわゆる「反り腰タイプ」は、腰椎が過伸展し、大腿前面(大腿直筋・腸腰筋)が過緊張していることが多いです。この場合に必要なのは「骨盤を立て直す=前傾をゆるめる+体幹の抗重力バランスを整える」ことです。


ところがピラティスは、そもそも後傾を前提に設計されているため、前傾を意図的に修正する動作が少なく、むしろ後傾を強めてしまう体型になっています。その結果、「反り腰が改善した気がする」感覚は一時的に得られても、立ったときの角度は再び元に戻りやすいのです。


つまり、骨盤前傾タイプの女性にとって、ピラティスの動作方向は補正ベクトルが逆であり、姿勢改善効果が実際の立位には反映されにくいという体型的な限界があります。


ピラティスは抗重力負荷がない

ピラティスの多くは、仰向け・座位・四つ這いなどの非荷重姿勢で行われます。非荷重とは、重力に対して身体を支えなくてもよい状態のことです。これは、痛みの軽減や動作の丁寧さ、呼吸や体幹の安定性の改善には非常に有効です。しかしその反面、立位で骨盤を支えるために必要な抗重力筋(大殿筋・ハムストリング・中殿筋・脊柱起立筋など)が十分に活動しないため、骨盤関節角度を物理的に変えることはできません。


重力と骨盤関節角度

骨盤の傾きは、重力線と筋肉の引き合いで決まります。前側(腸腰筋・大腿直筋など)と後側(大殿筋・ハムストリング・脊柱起立筋など)が、立位で互いに“綱引き”をするようにバランスを取っています。このバランスが崩れると、骨盤が前や後ろに傾き、姿勢全体のシルエットが変化します。


立位で骨盤を支えるには、単に筋肉を動かすだけではなく、「無意識に力が入る」「一定時間張力を保つ」ことが求められます。そのためには、立った状態で重力を受け、張力を一定時間かけ続ける練習が欠かせません。


なぜ負荷なしでは骨盤の傾きを変えられないのか

  • 非荷重では、頭頂から骨盤・足までを貫く重力線が形成されない
  • 筋肉に抗重力負荷がかからないため、骨盤を支える張力が生まれない
  • 筋量と腱の硬さ(剛性)が増えず、骨盤を固定する「支える力」が育たない
  • 神経の自動発火が起こらず、立位で自然に支えられるレベルに届かない


このように、ピラティスで得られるのは「整える感覚」までであり、「支える体型」を作り変えるには至らないのです。


「整った感」はなぜ起こるのか、そしてなぜ続かないのか

ピラティスの直後に「腰が伸びた」「軽くなった」と感じるのは、筋の緊張がゆるみ、関節可動域が一時的に広がるためです。これは神経のリセットによる効果で、感覚的な改善としては非常に価値があります。しかし、重力がかかると再び同じ筋バランスが戻るため、角度の変化は一時的なものに留まります。


ピラティスにも立位種目はある——それでも足りない理由

立位のピラティス種目も存在しますが、負荷の大きさ・時間(TUT)・漸進性が限定的で、骨格を支える土台筋の「合成」には十分とは言えません。立って行う形を取っていても、重力下での張力維持や筋出力の再構築には至らないことが多いのです。


ピラティスにも立位エクササイズはありますが、骨盤関節角度を「立っても崩れない角度」に変えるには、重力下で筋肉に十分な負荷をかけて支える力を作る必要があります。ピラティスでは骨格を支える土台筋が十分に合成されないため、立位では角度を保てません。


ピラティスは「寝て整える」ことで感覚を磨く運動。立って支える運動は、重力に抗いながら筋肉・腱・神経を総合的に育てるトレーニング。両者は補い合う関係にありますが、骨盤の傾きを本質的に変えるのは、後者です。


寝て整える vs 立って支える 比較表


観点 ピラティス(非荷重・後傾中心) 立位トレーニング(抗重力・支える中心)
基本設計 骨盤後傾を前提とする安定型 骨盤中立・前後バランスを再構築
重力との関係 重力を逃がし、動作コントロール重視 重力を受け、支える筋を育てる
筋肉の働き 深部筋・意識的操作が中心 抗重力筋の自動発火・張力維持
骨盤関節角度の変化 一時的に整うが立位で戻る 立位で崩れにくい角度に定着


OZEKIボディメイクメソッドでは骨盤関節角度をどう変えるのか


OZEKIメソッド(シセトレ/モデル筋)は、立位・抗重力下で「支える力」を再構築することを目的にしています。骨盤—股関節—膝—足首を一連の角度連鎖として扱い、筋の引き合いを利用して関節角度を再編成します。これにより、骨盤を「感じで整える」段階から、「体型的に支える」段階へと移行できます。


観点 ピラティス(非荷重中心) シセトレ/モデル筋(OZEKIメソッド)
姿勢条件 仰向け・座位・四つ這い中心 立位中心で重力線を前提
負荷のかかり方 軽い動きで張力不足 抗重力下で筋張力を十分に発生
骨盤関節角度への作用 感覚的に整うが、形は戻る 角度そのものを安定化・恒常化



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