Ozeki Toshiaki


ピラティスの姿勢改善効果

ピラティスの姿勢改善効果


ピラテスで姿勢派変わるのでしょうか?ピラテスの姿勢改善効果はどれくらいなのでしょうか?


ピラティスを受けたあと、「背すじが伸びた」「身体が整った」と感じる方は多いと思います。レッスン後は身体が軽く、呼吸も深くなる。その実感は確かにあります。


「ピラティスと姿勢」について、パーソナルトレーナーおぜきとしあきが解説します。



ピラテスが姿勢を変えているのか?


初めに、結論から。


ピラティスで変わるのは“感覚的な姿勢”であって、“体型的な姿勢”ではありません。


ピラティスを行うと、確かに姿勢が良くなったように見えたり、身体がまっすぐになったように感じます。


しかしこれは、神経系の再起動(動作意識・筋の協調・感覚入力の改善)によって、一時的に筋の使い方が変わった結果です。


筋出力の方向や張力バランスが変化し、姿勢制御が“上手くなった”ことで起こる一過性の整列現象にすぎません。


つまり、


  • 筋肉の張力バランスは恒常的に変化していない
  • 骨格関節角度(=姿勢の物理的骨組み)は固定されていない
  • 抗重力下での筋活動再構築が行われていない


ため、「姿勢角度が再構築された」とは言えないのです。


この“姿勢がよくなった気がする”という変化は、必ずしも身体の土台そのものが変わったわけではありません。多くの場合、それは 「脳と筋肉のつながりが一時的に再起動した状態」、つまり感覚が一時的にクリアになった結果です。

理由は以下です。


姿勢とは「立位時の骨格関節角度の総和」


そもそも、姿勢とは「立位姿勢における骨格の関節角度」によって作られていきます。肩、胸郭、骨盤、股関節、膝、足首がそれぞれどんな角度を取っているか、その総和があなたの“立ち姿”であり姿勢となります。


骨格は単なる受動体型物であり、自立して角度を維持する力はありません。骨を支え、その角度を保つのは筋肉です。各関節は屈筋群と伸筋群のトルクバランスによって中間位が保たれます。


したがって、「姿勢制御」とは「筋の張力バランス制御」であり、筋のつき方、出力方向、重力に対する支え方がその実体です。


骨格は筋出力の強い方向へ引かれる


筋肉は押すことができず、常に骨を短縮方向へ引っ張ります。たとえば次のような例です。

  • 胸郭前面の大胸筋が過緊張すれば、肩甲骨は前方回旋し、胸椎が屈曲し、猫背化する。
  • 腸腰筋が短縮すれば骨盤は前傾し、腰椎が過伸展する。
  • ハムストリングスが優位に働けば骨盤後傾・膝屈曲傾向を作る。


姿勢とは筋の張力ベクトルの合力が作る骨格角度の結果であり、意識で「姿勢を整える」ことは一時的な制御にすぎません。筋の出力バランスそのものを変えない限り、関節角度(=姿勢)は恒常的には変化しません。


ピラティスの「姿勢制御」という言葉の実体


ピラティスでは「姿勢改善」や「アライメント修正」という表現が多用されますが、その多くは神経的制御(意識・コーディネーション)による一時的な制御にとどまります。


理由:

  • ピラティス動作は低負荷・非抗重力的な体位で行うことが多い。仰臥位・座位・四つ這いでは重力負荷が分散され、抗重力筋(脊柱起立筋群、大殿筋、下肢伸筋群など)の活動量が少ない。
  • 中枢神経的な「使い方の再学習」は起こるが、筋肥大や筋張力増強は限定的。
  • ピラティスは筋出力よりも筋感覚(プロプリオセプション)を重視するため、「姿勢が整った感覚」は得られるが、体型的変化(筋断面積や張力方向の再構築)が起きるほどの負荷ではない。


筋の張力バランスを恒常的に変えるには、重力下での抗重力負荷、すなわち立位での筋出力再教育が不可欠です。ピラティスはその準備・感覚教育としては優秀ですが、最終的な姿勢筋の張力改編には至りません。


抗重力筋活動の欠如=姿勢の角度が変わらない理由


立位姿勢を形づくる主な抗重力筋は以下の通りです。


  • 頸部伸筋群(頭を支える)
  • 脊柱起立筋群・多裂筋群(体幹の垂直維持)
  • 大殿筋・中殿筋・ハムストリングス(骨盤の位置保持)
  • 大腿四頭筋・下腿三頭筋(下肢支持)


ピラティスの種目はほぼ、これらの筋群を抗重力的に活動させない環境で行うため、筋出力方向も筋張力レベルも、立位時の実際の姿勢制御とは異なります。結果として筋の出力バランスそのものは変わらず、関節角度を変える張力ベクトルの再配分が起きません。


動作後に一時的に「伸びた」「整った」と感じるのは、神経的抑制(筋スパズムの減少)や血流改善による一時的リリース効果であり、恒常的な関節角度の変化とは異なります。


姿勢を恒常的に変えるには何が必要か


姿勢(立位姿勢における骨格の関節角度)を本当に変えるには、次の条件が必要です。


  1. 抗重力下での筋出力ベクトルの再教育
    重力に抗する姿勢筋を正しい方向で再学習させる。立位・片脚立位・スクワットなどでの荷重下制御が不可欠。
  2. 筋の体型的変化(筋肥大・筋線維再配列)
    張力の強い方向を物理的に変えるには、筋繊維束の方向性・長さ・厚みを再形成する必要がある。これは低負荷トレーニングでは起こりにくい。
  3. 神経支配の再最適化
    不要な筋を抑制し、必要な筋を選択的に発火させる運動制御訓練が必要。ピラティスはこの部分(制御学習)には寄与するが、力学的再編には不十分。


ピラティスの効果と限界の整理


観点 ピラティスの貢献 欠けている要素
神経制御 動作意識・深部筋の協調・感覚入力の改善 持続的張力の再構築
力学的再構成 一時的には筋の活動分布を変える 抗重力下での筋出力再教育
体型的変化 血流・筋弛緩・可動性改善 筋断面積・筋張力方向の再形成


ピラティス創始者が想定していた身体


ピラティスの創始者ジョセフ・H・ピラティスは、自身の骨盤後傾を改善するためにエクササイズ体系を作りました。したがって、その多くの動きは骨盤を立てる方向へ誘導されるもので、骨盤後傾型の人には効果的ですが、前傾型の人には逆効果になる場合があります。


すでに骨盤が前傾している人が「立てよう」と意識すると、腰椎の過伸展や大腿前部の緊張が強まり、腰痛や下肢の張りを招くこともあります。


骨盤の傾きと文化的傾向


30年以上にわたり身体づくりを指導してきた、私パーソナルトレーナーの経験から、日本人の約半分は骨盤が前傾しています。白人は後傾型が多く、黒人は強い前傾傾向を持ちます。この違いは筋肉や関節体型だけでなく、生活文化の違いも影響しています。


欧米では椅子文化が根づき、ハムストリングスが優位に働くことで骨盤が後傾しやすい。一方、日本やアジアでは床座文化や前かがみ姿勢が多く、腸腰筋が短縮して前傾が強まりやすい傾向があります。


「ピラティスで姿勢が変わる」という表現について


「ピラティスで姿勢が変わる」という表現を、宣伝、ネット記事、SNSなど目にすることがありますが、特に影響力のある専門家はその表現について厳格にすべきと思います。


「ピラティスで姿勢が整う」は科学的に正確な表現は次のように言い換えるのが適切です。


❌ 「ピラティスで姿勢が整う」

⭕ 「ピラティスで姿勢を保つ感覚が整う」

⭕ 「ピラティスで姿勢を制御する神経的な能力が高まる」


つまり、姿勢の“感覚”が変わるだけで、姿勢の“体型”までは変わらないからで、ピラテスの姿勢改善効果は、「神経制御」のみであり、「力学的再構成」や「体型的変化」までは達していないからです。



その他、ピラテスについて


➡︎ピラティスの姿勢改善効果

➡︎ピラティスのダイエット効果

➡︎ピラティスのボディメイク効果

➡︎ピラティスで骨盤傾きが改善されるか?

➡︎ピラティスで基礎代謝が上がるか?

➡︎マシンピラティスで基礎代謝が上がるか?

➡︎ピラティスの消費カロリー

➡︎ピラティスでモデル体型になれるか?

➡︎ピラティスでモデル体型にボディメイクする方法




各種ボディメイク一覧



パーソナルトレーナーおぜきとしあき