Ozeki Toshiaki


ピラティスでモデル体型に本当にボディメイクできるの?

ピラティスでモデル体型に


ピラティスでモデル体型にボディメイクする方法や、ピラティスではモデル体型になれない理由を、パーソナルトレーナーおぜきとしあきが解説します。


モデル体型ボディメイクとは「骨格関節角度の再構築」


モデル体型とは、単に体重や体脂肪が少ない状態ではありません。頭からつま先までがまっすぐに貫かれた、直線的な関節角度に本質があります。トップモデルの身体では、骨盤・背骨・肩・膝・足首などの角度が一方向に揃い、立位で身体が“縦に伸びて見える”体型になっています。

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どれだけ体重を落としても、関節角度が曲がっていれば身体はくねくねと歪んで見えます。骨格関節角度が変わらない限り、外観シルエットは物理的に変わりません。したがって、モデル体型にボディメイクするための必須条件は「骨格関節角度の再構築」です。


骨格は筋肉の張力で形作られます

骨格は骨だけで自立しているのではなく、周囲の筋肉が引っ張り合う張力バランスによって位置を決めています。太ももの前側が優位なら骨盤は前傾し、ハムストリングや大殿筋が適切に働けば骨盤は中立へ戻ります。このように、骨は常に“筋肉の強いほうに引っ張られて”位置を取ります。


よって、関節角度を理想の直線へ構築するには、筋肉の張力バランスそのものを変える必要があります。筋肉を「動かす」だけではなく、「合成させる」、つまり筋タンパク質を増加させて出力の方向と強さを再設計しなければ、骨格は変わりません。


トップモデルの身体は「直線的な骨格関節角度」

モデルの立位では、重心線が耳・肩・骨盤・膝・足首を一直線に通ります。骨盤はほぼ垂直(バーチカル)で、足首角度はおよそ直角を保ちます。これを支えるのが「モデル筋」と呼べる張力の軸です。大殿筋・ハムストリングス・内転筋・下部僧帽筋などが、上から下までの直線を成立させます。

モデル体型を作るには、この軸となる筋を選択的に強化し、外側広筋や僧帽筋上部など外観を“盛り上げてしまう筋”の過度な発達を抑えるチューニングが不可欠です。どの筋を合成し、どの筋を抑えるかという設計が、関節角度を変える唯一の方法です。


ピラティスでは骨格の関節角度を変えられない

1. 抗重力ではありません

ピラティスは仰向け・座位・四つ這いなど、重力を逃がす姿勢で行うことが多い低負荷の運動体系です。立位で重力に抗うときに必要な抗重力筋の張力が十分に発生しません。立って重力を受ける状況でこそ筋は骨を引き寄せ、関節角度を作り直しますが、臥位ではその力がほぼ働きません。結果として、ピラティスを丁寧に行っても、立位における関節角度は変わりにくいままです。


そもそもピラティス博士(ジョセフ・ピラティス)が体系を構築した当初の前提は、第一次世界大戦中の負傷兵のリハビリでした。彼の想定した身体像は「骨盤後傾」傾向の欧米人兵士であり、脊柱の湾曲を減らして背面を床につける姿勢が基本設計とされていました。そのため、ピラティスのエクササイズ体系全体が、骨盤後傾タイプを前提とした体型になっています。


この歴史的背景からもわかるように、ピラティスの基本コンセプト自体が立位で重力に抗う身体づくりではなく、あくまで床上での安定性回復と脊柱コントロールを目的としています。ゆえに、骨盤が前傾傾向にある人や、立位での姿勢改善・モデル体型を目指す人にとっては、体型的に抗重力筋が十分に働かない仕組みとなっているのです。


2. 骨盤関節角度のアプローチ

ピラティスの基本には「腰をマットにつける(骨盤後傾)」動作が多く含まれます。これは骨盤後傾タイプのリハビリには適していても、骨盤前傾タイプが多い日本人女性にとっては、腹直筋の優位やヒップ位置の低下を招き、脚が短く見えるなどの逆効果になる場合があります。骨盤垂直(バーチカル)を核に直線化を目指すモデル体型づくりとは、設計思想が一致しません。


3. マシンピラティスであっても同じです

リフォーマーやキャデラックなどのマシンピラティスは、一見すると負荷を調整できるように見えますが、実際には「スプリング補助によって重力を軽減する体型」です。つまり、動作中の力学ベクトルが重力方向ではなく、機械の弾性方向に逃げてしまうため、抗重力筋の張力を再構築する作用がほとんど生じません。結果として、マットピラティスと同様に、筋張力バランスが変化せず、関節角度の再構築も起こりにくいです。

また、マシンのガイドレールや支点が身体を安定させるため、自己の支持力(自重を支える張力)が発揮されにくくなります。見た目には動いていても、骨格の角度を動かすだけの張力変化が生まれていないのです。



筋肉を「動かす」と「合成させる」は違う


筋肉を「動かす」と「合成させる」は違います。ピラティスは“感じて動かす”協調性の向上には有効ですが、張力バランスを変えるための筋タンパク質合成条件を満たしにくい特徴があります。筋肉が本当に合成されるためには、次の三条件が同時に必要です。


  • 十分な張力(負荷)
  • 適切な可動範囲
  • 回復と栄養

ここ20年ほどの筋生理学の研究では、筋肥大は「筋繊維の破壊」ではなく、「機械的張力によって細胞内のタンパク合成シグナル(mTOR経路など)が活性化すること」で起こるとされています。つまり、筋肉を増やすために必要なのは“壊すこと”ではなく、“正しい張力刺激によって合成を促すこと”です。

ピラティスのような軽い自重中心の運動では、この張力刺激が不十分なため、筋タンパク質合成を引き起こす反応がほとんど起こりません。動いていても、筋合成に必要な条件を満たせないため、筋肉量も張力体型も変わらず、結果として関節角度も変わりにくいままです。


筋肉合成:物理的プロセスと化学的プロセス

筋タンパク質の合成は、物理的刺激と化学的刺激が同時に成立して初めて起こります。従来の「筋繊維損傷→修復」モデルでは説明できないことが、現代の研究で明確になっています。

物理的プロセス(局所的シグナル伝達)

重力下での強い収縮、とくにエキセントリック局面での張力により、筋内でIGF-1やFGFなどの局在因子が分泌されます。これが筋衛星細胞を活性化し、筋タンパク質合成を促進します。低負荷のままでは、この局所反応が不十分です。

化学的プロセス(代謝ストレス)

低酸素・乳酸蓄積のような代謝ストレスにより、成長ホルモンやテストステロンなどのホルモン分泌が促され、mTOR経路をさらに刺激します。軽負荷・低代謝の運動では、これらの反応が小さく留まりやすいです。

同時成立が必要

張力刺激(物理)と代謝ストレス(化学)のいずれか一方が欠けても、筋タンパク質合成は限定的です。ゆえに、ピラティスやマシンピラティス中心の運動では、張力体型が更新されにくく、骨格関節角度を動かすだけの力学的基盤が整いません。


骨格関節角度が変わらなければ、シルエットは変わりません

体型を決めるのは筋量そのもの以上に、骨格関節角度の配置です。筋が合成されなければ張力は変わらず、骨格関節角度も固定され、外観シルエットは変化しません。骨盤が前傾のままなら脚は太く見え、肩が前方へ巻けば首は短く見え、背中が屈曲すればバストは下がって見えます。これらの見た目の問題は、立位での角度連鎖の偏りに起因します。


ピラティスでは「整った気がする」だけ

ピラティス後に感じる「姿勢が良くなった気がする」「スッキリした」は、主に神経系の一時的リセットや血流改善による体性感覚の変化です。可動域向上や感覚の明瞭化は前準備として有用ですが、立位の抗重力条件に戻ると元の張力パターンに回帰しがちです。形(関節角度)は変わらないままになりやすいのです。


結論:ピラティスでモデル体型にはなれません

モデル体型とは、直線的な骨格関節角度の構築結果です。ピラティスのように低負荷・非抗重力で行う運動では、その関節角度を変えることができません。これはマットピラティスだけでなく、マシンピラティスでも同様です。どちらも重力下の張力刺激を欠いているため、外観シルエットの変化を導くことは難しいです。

ピラティスは身体の感覚を整えるには役立ちますが、形を変えるには不十分です。モデル体型を目指すなら、立位で重力を味方につけ、筋タンパク質合成を最大化させながら張力体型を再構築するトレーニングが必要です。


その他、ピラテスについて

➡︎ピラティスの姿勢改善効果

➡︎ピラティスのダイエット効果

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➡︎ピラティスで骨盤傾きが改善されるか?

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➡︎マシンピラティスで基礎代謝が上がるか?

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